2026-27

千葉ジェッツ2026-27、新体制のロスターを数字で読み解く

チーム分析千葉ジェッツ

千葉ジェッツの2026-27シーズンに向けたロスターが固まった。渡邊雄太、富樫勇樹、田代直希、瀬川琉久、菅野ブルース、ブランドン・ランドルフ、金近廉、深水虎太郎、佐藤巧、ネイト・ウィリアムズ、ウィリアムス ニカ、マット・コステロ、荒尾岳、菅原佳依、原修太。そして新HCにはバレンシア・バスケット(スペイン1部)のアシスタントコーチだったコヴァーチが就任する。

このロスター、実際どんなチームになりそうなのか。去年のスタッツと照らし合わせながら、数字ベースで考えてみたい。

ロスターの形をまず数えてみる

15人を身長帯で並べると、こう分かれる。

167〜188cmのPG/コンボガード枠には富樫(167cm)、瀬川(184cm)、原(188cm)の3人。188〜200cmのウイング枠には田代(188cm、SG/SF)、菅原(191cm)、金近(196cm)、ネイト(196cm)、菅野(200cm)の5人。203cm以上のビッグ枠にはニカ(203cm)、渡邊(206cm)、コステロ(206-208cm)の3人、これに荒尾(198cm)が準ビッグとして加わる。

見えてくるのは、ウイングが5人と分厚い一方で、純粋なビッグは実質コステロとニカの2人しかいないという形。荒尾は39歳のロールプレイヤーだし、渡邊も元々はSF/PFで本職センターではない。

去年のチームは「守って勝つ」チームだった

2025-26シーズンの千葉Jは、ブロック数リーグ1位(3.65本)、リバウンド4位(39.9本)を記録する一方、スティールは25位(5.6本)と低かった。リム周りを固めて相手のシュート効率を落とし、ハーフコートで確実に得点を積み上げるタイプのチームだったと言っていい。

ブロック
3.65本
リーグ1位
リバウンド
39.9本
リーグ4位
スティール
5.6本
リーグ25位
2025-26 レギュラーシーズン・カッコ内はリーグ内順位(全26チーム)

抜けた3人、そして緊急補強1人の中身

この強みを支えていたのがジョン・ムーニーだ。12月28日の試合で負傷離脱し、そのままシーズン終了まで戻らなかった。出場した28試合では14.3得点・11.3リバウンド・3.3アシストという圧倒的な数字を残していたが、これはあくまでシーズン前半だけの話。離脱後、代役なしで戦った1月末までの期間は7勝10敗と苦戦し、東地区首位から3位に後退している。

得点
28試合
14.3
リバウンド
11.3
アシスト
3.3
ジョン・ムーニー 2025-26・28試合の1試合平均

この穴を埋めるために3月6日に緊急補強されたのがギャリソン・ブルックス(206cm、PF/C)。20試合中19試合に先発し、7.0得点・5.9リバウンド・2.0アシスト・0.8ブロック・0.8スティールという数字を残した。

得点
7.0
リバウンド
5.9
アシスト
2.0
ブロック
0.8
スティール
0.8
ギャリソン・ブルックス 2025-26・20試合(19先発)の1試合平均

後半戦の戦術変革(富樫がベンチに回り、原がPG転向)や最終盤の巻き返しは、この緊急補強があってこそ成立していたものだ。「代役なしで乗り切った」のではなく、「穴を埋める補強をして、それで持ち直した」というのが正確なところだと思う。

さらに、ナシール・リトル(199cm、SF/PF)は得点16.5点(リーグ17位)だけでなく、リバウンドも7.7本(リーグ17位)を記録していた。得点だけでなく、リバウンドでもしっかり貢献していたタイプだったことは押さえておきたい。ディー・ジェイ・ホグも16.5得点を記録した得点源だった。

そして今季、ムーニーだけでなくブルックスも退団している。つまり来季は、ムーニーの穴とブルックスの穴を両方、最初から埋めた状態で開幕する必要がある。

入ってきた4人の実際の数字

コステロは、スペイン1部で31試合平均7.5得点・4.0リバウンド、3Pは38.0%を3.5本試投で決めている。低使用率での効率型の数字だ。

ランドルフは、直近の中国リーグで12.2得点・2.4リバウンド・2.2アシスト。1シーズン前のドイツ1部では19.0得点で得点王を獲得した実績もある。

ネイトは、Gリーグ(ロングアイランド・ネッツ)で35試合平均18.5得点・5.9リバウンド・2.5アシスト・1.8スティールと、ウイングとしてはかなりのオールラウンドな数字を残している。

ニカは、昨季富山で59試合平均8.8得点、FG成功率56.4%、6.1リバウンド。59試合中44先発で、稼働数自体は高い。

数字を組み合わせると見えること

得点面では、リトル+ホグの合計33.0PPG(16.5×2)に対し、ランドルフ+ネイトの直近シーズン合計は12.2+18.5=30.7PPGで、ほぼ同水準を維持できる可能性がある。

リバウンド面では、ムーニー(11.3)とブルックス(5.9)が担っていた頭数を、コステロ(4.0)とニカ(6.1)の合計10.1本でどこまでカバーできるかが焦点になる。数字だけ見れば計算が立つ可能性はあるが、これはあくまで開幕前の設計上の話でしかない。実際にニカが39歳でシーズンを通してこの負荷に耐えられるか、コステロがバレンシアでの「4番寄り」の起用から「主力5番」相当の役割に対応できるかは、まだ何も証明されていない。

3P効率で言えば、コステロの38.0%は去年のチーム3P成功率(35.1%、7位)を押し上げる材料になり得る。

コヴァーチHCという変数

新HCのコヴァーチは、バレンシア(スペイン1部)のアシスタントコーチ出身だ。バレンシアは、プラディージャ・シマ・サコ・ロイヴァーズという211cm級のセンターを複数抱えるチームで、コステロはその中で「動けるPF」として起用されていた。千葉にはその相方になれる211cm級のビッグがニカしかおらず、同じ編成をそのまま再現できるかは頭数の面で不透明だ。ただし、ウイングが厚いロスター構成自体は、去年の「オールスイッチディフェンス」路線を継続しやすい土台にはなっている。

まとめ

去年、ムーニー離脱時に代役なしで戦った期間は7勝10敗と苦戦しており、インサイドの穴は簡単には埋まらないというのが実際の経験則だ。後半戦の持ち直しも、ブルックスという緊急補強があってこそ成立していた。

今季はムーニー(11.3RPG)とブルックス(5.9RPG)、両方の穴を最初から埋めた状態で開幕する必要がある。コステロ(4.0)とニカ(6.1)を単純に足せば10.1本で、数字の上では計算が立つ可能性はある。ただし、ニカが39歳でシーズンを通してこの負荷に耐えられるか、コステロが「主力5番」相当の役割に対応できるかは未知数だ。去年、ムーニー不在の代償を埋めるのに外部からの緊急補強が必要だったという事実は、「頭数さえ揃えれば大丈夫」と楽観するには十分な警告だと思う。