オンザコートフリーで日本人選手の出場時間は減ったのか
2026-27シーズンから、B.LEAGUE PREMIER はオンザコートフリーになりました。登録は14名で、そのうち外国籍が3名、帰化選手またはアジア特別枠が1名までという上限は昨季と同じです。変わったのは出場のほうで、外国籍選手が同時にコートに立てる人数の制限がなくなりました。昨季までは「オンザコート2」で、外国籍は常に2人まででした。
つまり制度上は、外国籍3人+特別枠1人の4人が同時に出られて、日本人が1人しかコートにいない5人も組めます。そこで開幕週が終わった時点で、実際に何が起きたのかを数えました。
この記事で使うのは、2026年9月22日から27日までの26試合です。全26クラブがちょうど2試合ずつ消化したので、52チーム試合になります。比較相手は昨季(2025-26シーズン)のB1全796試合です(オールスターは除きます)。出場時間はボックススコア、同時出場の組み合わせはプレーバイプレーから起こしたラインナップの記録を使います。
先に結論
はっきり言えるのは3つです。
- 日本人の出場時間は減り、減った分はそのまま外国籍に移りました。 シェアは55.1%から51.4%、外国籍は36.0%から39.8%です。帰化とアジア特別枠を合わせた枠は8.9%から8.8%で動いていません。そして減ったのはベンチの後ろ側です。各チームで出場時間が多い日本人を1番目から順に並べると、どの順位も減っているなかで6番目・7番目の選手がいちばん削られました(6番目は1試合7.5分→5.5分の-27%、1番目は27.3分→26.2分の-4%)
- ただし日本人シェアの-3.7ポイントはリーグ全体を均した数字で、一部には日本人シェアが上がったクラブもあります。 昨季から続く24クラブのうち、下がったのは19クラブ、上がったのは5クラブです。今季のシェアそのものも広島ドラゴンフライズの40.1%から長崎ヴェルカの71.8%まで開いています
- 「日本人に何%配ったか」と「何人の日本人が主力として出たか」は別物です。 2試合平均で20分以上出た日本人は、宇都宮ブレックスが5人、千葉ジェッツが4人いる一方で、川崎ブレイブサンダースは0人でした。川崎の日本人シェアは50.9%でほぼリーグ平均です。シェアの数字だけでは、15分台から19分台に4人が並ぶ状態と、主力が複数いる状態を区別できません
選手を3つに分ける
「日本人選手」をどう数えるかで結論が変わります。帰化選手を日本人に含めるかどうかで、宇都宮ブレックスの日本人シェアは68.2%と81.8%の間で13ポイントも動きます。なので最初に①日本人・②帰化とアジア特別枠・③外国籍の3つに分けます。
| 区分 | 中身 | ルール上の扱い |
|---|---|---|
| ①日本人 | 日本国籍で、帰化選手として登録されていない選手 | 人数制限なし |
| ②帰化・アジア特別枠 | 帰化選手、またはフィリピン・レバノン・韓国など提携国の選手 | 登録1名まで。昨季も同時出場の制限なし |
| ③外国籍 | 上のどちらでもない選手 | 登録3名まで。昨季は同時出場2名まで、今季は制限なし |
②が1つの区分になっているのは、リーグの制度がそうなっているからです。帰化選手とアジア特別枠は同じ1枠を取り合う関係で、どちらか1名しか登録できません。
分類には2つの一次情報を使いました。国籍は B.LEAGUE 公式の選手ページの「リーグ登録国籍」(カタカナを含む名前の選手211名分を2シーズン分)、帰化かどうかは公式の外国籍選手一覧に載っている区分(Import / Naturalized / Asia)です。帰化は国籍や出身地からは判別できません。たとえばザック・バランスキーもジョシュ・ホーキンソンも登録国籍は日本でアメリカ生まれですが、前者は①日本人、後者は②帰化選手です。
この分け方は2つの方法で検算できます。
- 昨季はオンザコート2だったので「外国籍3人が同時にコートにいた時間」は0のはず。 昨季の全ラインナップ63,926分のうち該当は**7分(0.011%)**でした
- どのクラブも1試合で外国籍3名・特別枠1名を超えて出場させられないはず。 昨季の1,592チーム試合と今季の52チーム試合を全部数えて、違反は0件でした
① 日本人選手の出場時間は減ったのか
減りました。出場時間全体のうち日本人が占める割合(以下「日本人シェア」)が、55.1%から51.4%へ3.7ポイント下がっています。
| 2025-26(796試合) | 2026-27(開幕26試合) | 変化 | |
|---|---|---|---|
| ①日本人 | 55.1% | 51.4% | 減少 -3.7pt |
| ②帰化 | 4.8% | 4.3% | 変化なし -0.5pt |
| ②アジア特別枠 | 4.1% | 4.5% | 変化なし +0.4pt |
| ②合計(特別枠) | 8.9% | 8.8% | 変化なし -0.1pt |
| ③外国籍 | 36.0% | 39.8% | 増加 +3.8pt |
| 1チーム1試合あたりの日本人の合計出場時間 | 110.8分 | 102.8分 | 減少 -8.0分 |
| スタメン5人のうち日本人 | 2.58人 | 2.15人 | 減少 -0.43人 |
| 20分以上出た日本人 | 2.31人 | 2.10人 | 減少 -0.21人 |
| 10分以上出た日本人 | 5.06人 | 4.71人 | 減少 -0.35人 |
動いたのは①と③だけです。 日本人シェアが-3.7ポイント、外国籍シェアが+3.8ポイントで、ほぼ同じ大きさです。②の特別枠は8.9%から8.8%で止まっています。登録が1名までという上限が昨季と変わっていないので、当然といえば当然です。日本人から減った時間は、特別枠を経由せず直接外国籍に移りました。
1チームが1試合で配れる出場時間は5人×40分=200分です。そのうち日本人に配られた分が110.8分から102.8分に減りました。1チームにつき1試合あたり8分が、日本人から外国籍に移ったことになります。
ここで「開幕直後はコンディションや新加入の見極めがあるから、時期の違いではないか」という説明が浮かびます。これは半分当たっています。昨季の各チームの開幕2試合だけを同じやり方で数えると日本人シェアは**53.1%**で、昨季通年の55.1%より2ポイント低いからです。開幕直後は日本人の出場時間が少し減る傾向が、昨季の時点でありました。
それでも今季の51.4%は、その昨季の開幕2戦よりさらに1.7ポイント低いです。昨季から続けて参加している24クラブだけに絞った通年比較でも**55.4%→51.1%(-4.3ポイント)**で、向きも大きさも同じです。時期の効果を引いても、下がっている部分は残ります。
チーム別で見ると、方向が真逆に分かれます
同じ「①日本人の出場時間シェア」をクラブごとに出します。そのクラブが1試合で配った200分(5人×40分)のうち、何%が日本人に配られたかです。50%なら、コートに立っていた5人のうち平均2.5人が日本人だったことになります。
| クラブ | ①日本人シェア 2025-26 | 同 2026-27 | 差 |
|---|---|---|---|
| 長崎ヴェルカ | 48.5% | 71.8% | +23.3pt |
| 宇都宮ブレックス | 50.9% | 68.2% | +17.3pt |
| 千葉ジェッツ | 59.5% | 64.9% | +5.4pt |
| 富山グラウジーズ | 53.4% | 56.5% | +3.0pt |
| アルティーリ千葉 | 54.9% | 55.2% | +0.3pt |
| 神戸ストークス | — | 54.8% | (昇格) |
| 信州ブレイブウォリアーズ | — | 54.5% | (昇格) |
| 滋賀レイクス | 61.3% | 52.1% | -9.2pt |
| シーホース三河 | 53.6% | 52.0% | -1.6pt |
| 琉球ゴールデンキングス | 53.8% | 51.0% | -2.7pt |
| 川崎ブレイブサンダース | 58.7% | 50.9% | -7.8pt |
| 大阪エヴェッサ | 53.9% | 50.9% | -3.1pt |
| 横浜ビー・コルセアーズ | 51.2% | 50.8% | -0.4pt |
| 島根スサノオマジック | 63.9% | 50.7% | -13.2pt |
| 京都ハンナリーズ | 65.1% | 50.4% | -14.8pt |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 55.4% | 50.2% | -5.3pt |
| 群馬クレインサンダーズ | 56.3% | 50.1% | -6.2pt |
| レバンガ北海道 | 49.9% | 49.0% | -0.8pt |
| 東京サンロッカーズ ※ | 53.0% | 46.8% | -6.2pt |
| 秋田ノーザンハピネッツ | 62.1% | 46.6% | -15.4pt |
| 仙台89ERS | 49.4% | 44.4% | -5.1pt |
| アルバルク東京 | 55.1% | 44.1% | -11.0pt |
| 佐賀バルーナーズ | 55.4% | 44.0% | -11.5pt |
| 茨城ロボッツ | 58.1% | 43.8% | -14.2pt |
| 三遠ネオフェニックス | 57.7% | 42.4% | -15.3pt |
| 広島ドラゴンフライズ | 48.7% | 40.1% | -8.6pt |
※東京サンロッカーズは昨季まで「サンロッカーズ渋谷」で、同じクラブとして並べています。
昨季から続く24クラブのうち、日本人シェアが下がったのは19クラブ、上がったのは5クラブです。 昨季からの動き幅は、秋田ノーザンハピネッツの-15.4ポイントから長崎ヴェルカの+23.3ポイントまで開いています。リーグ全体の-3.7ポイントは、この幅の中の1点にすぎません。
日本人の6番手・7番手が、いちばん削られました
では誰の時間が消えたのか。各チーム各試合で、日本人(①)を出場時間の多い順に1番目から並べて、その順位ごとの平均出場時間を昨季と比べます。「6番目」は、その試合でチーム内の日本人のうち6番目に長く出た選手という意味です。
減り幅そのものは1番目から8番目までどこも1〜2分で、大きな違いはありません。 違うのは元の長さです。同じ棒を「元の時間の何%が消えたか」に置き換えると、形がはっきり変わります。
1番目から8番目まで、どの順位も減っています。 特定の誰かだけが割を食ったのではなく、日本人の出場時間は全体的に薄くなりました。そのうえで最も大きく減ったのが6番目と7番目です。1番目の-1.1分は27.3分に対して4%ですが、6番目の-2.0分は7.5分に対して27%になります。時間が短い選手ほど、同じ2分が重いという形です。
個人で追うと、主力は減っていません。昨季30試合以上に出て平均25分以上だった日本人のうち、今季も同じリーグで2試合に出た12人の全員がこれです。
| 選手 | クラブ | 2025-26 | 2026-27 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 游 艾喆 | 滋賀レイクス | 26.9分 | 15.0分 | -11.8 |
| 安藤 誓哉 | アルティーリ千葉 | 29.6分 | 24.8分 | -4.8 |
| 比江島 慎 | 宇都宮ブレックス | 25.8分 | 22.4分 | -3.4 |
| 富樫 勇樹 | 千葉ジェッツ | 25.7分 | 23.3分 | -2.4 |
| 田中 大貴 | 東京サンロッカーズ | 26.4分 | 24.3分 | -2.1 |
| 熊谷 航 | 長崎ヴェルカ | 25.4分 | 24.3分 | -1.1 |
| 岡田 侑大 | 島根スサノオマジック | 29.8分 | 30.4分 | +0.7 |
| 阿部 諒 | 佐賀バルーナーズ | 25.2分 | 27.1分 | +1.9 |
| 富永 啓生 | レバンガ北海道 | 26.4分 | 29.6分 | +3.2 |
| 渡邊 雄太 | 千葉ジェッツ | 27.2分 | 30.4分 | +3.2 |
| 馬場 雄大 | 長崎ヴェルカ | 28.1分 | 31.4分 | +3.3 |
| 角田 太輝 | 佐賀バルーナーズ | 29.0分 | 33.2分 | +4.3 |
12人のうち6人は、昨季より出場時間が増えています。 佐賀バルーナーズは日本人シェアが11.5ポイント落ちたクラブですが、その佐賀の角田太輝は29.0分から33.2分に増えました。消えた時間は、名前の知られた選手からではなく、チームの日本人枠全体から出ています。
② 出場時間が少数に集まったチーム
国籍の話から離れて、出場時間の配り方そのものを見ます。使うのは有効人数です。全選手の出場時間の配分から「実質何人で回したか」を出した数字で、10人が均等に出れば10.0人、5人だけで回せば5.0人になります。上位何人で切るかを決めなくていいので、ローテーションの長さを1つの数で表せます。
| クラブ | 2026-27 有効人数 | 10分以上出た選手 | 前季比 |
|---|---|---|---|
| 佐賀バルーナーズ | 7.12人 | 6.5人 | -1.02人 |
| 神戸ストークス | 7.43人 | 7.5人 | (昇格) |
| アルティーリ千葉 | 7.91人 | 8.0人 | -0.68人 |
| 茨城ロボッツ | 7.96人 | 7.0人 | -0.70人 |
| 広島ドラゴンフライズ | 8.17人 | 8.0人 | -0.35人 |
| 川崎ブレイブサンダース | 8.20人 | 8.0人 | -0.93人 |
| アルバルク東京 | 8.22人 | 8.0人 | -0.60人 |
| 千葉ジェッツ | 8.22人 | 8.5人 | -0.38人 |
| 琉球ゴールデンキングス | 8.22人 | 8.5人 | -0.86人 |
| 滋賀レイクス | 8.23人 | 8.0人 | -0.48人 |
| 三遠ネオフェニックス | 8.24人 | 8.0人 | -0.37人 |
| 東京サンロッカーズ | 8.29人 | 8.0人 | -0.31人 |
| シーホース三河 | 8.34人 | 8.5人 | -0.70人 |
| リーグ平均 | 8.42人 | 8.21人 | -0.31人 |
| 島根スサノオマジック | 8.45人 | 8.0人 | +0.29人 |
| 大阪エヴェッサ | 8.47人 | 9.0人 | -0.70人 |
| 横浜ビー・コルセアーズ | 8.63人 | 9.0人 | +0.04人 |
| 仙台89ERS | 8.65人 | 9.0人 | -0.11人 |
| 長崎ヴェルカ | 8.68人 | 8.0人 | +0.70人 |
| 秋田ノーザンハピネッツ | 8.71人 | 8.5人 | +0.06人 |
| 京都ハンナリーズ | 8.76人 | 7.5人 | -0.36人 |
| 信州ブレイブウォリアーズ | 8.79人 | 8.5人 | (昇格) |
| 富山グラウジーズ | 8.95人 | 9.0人 | -0.07人 |
| 宇都宮ブレックス | 8.97人 | 8.5人 | +0.47人 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 9.01人 | 9.0人 | -0.03人 |
| レバンガ北海道 | 9.04人 | 7.5人 | ±0.00人 |
| 群馬クレインサンダーズ | 9.20人 | 9.5人 | +0.27人 |
有効人数のリーグ平均は8.73人から8.42人に減りました。10分以上出た選手の数も8.54人から8.21人です。リーグ全体で、ローテーションが0.3人分だけ短くなっています。
ローテーションが最も短いのは佐賀バルーナーズの7.12人です。 昨季からの縮み方(-1.02人)も最大で、今季の短さでも縮み方でもリーグ1位でした。次が昇格した神戸ストークスの7.43人です。逆に群馬クレインサンダーズは9.20人で、佐賀より実質2人多く使っています。
「少人数で回すチームほど日本人が出にくい」は成り立ちません
ここまで来ると「タイムシェアしないチームほど日本人の出番が減るのでは」という仮説が立ちます。26クラブを置いて確かめました。
点は散らばったままで、傾きが出ません。 相関係数は+0.26(昨季の通年では+0.08)です。上位5人シェア・上位8人シェア・ジニ係数・出場人数など6通りの測り方を試しても、すべて絶対値が0.29以下でした。
図を見ると理由が分かります。日本人シェアが最も高い長崎ヴェルカ(71.8%)も、最も低い広島ドラゴンフライズ(40.1%)も、横軸ではリーグ平均8.42人のすぐ近く(8.68人と8.17人)にいます。左端の少人数グループも上下に割れていて、佐賀(44.0%)と茨城(43.8%)が下、神戸(54.8%)とアルティーリ千葉(55.2%)が上です。最も長く回した群馬クレインサンダーズ(9.20人)ですら、日本人シェアは50.1%とちょうど平均です。
ローテーションを何人で回すかと、その枠を日本人に渡すかは、別々に決まっています。
③ オンザコートフリーを、どこが何分使ったか
ここからはプレーバイプレーの記録を使います。コートに立っていた5人のうち日本人以外(②+③)が何人だったかを、秒単位で数えます。帰化選手は日本国籍ですが、体格もプレーする位置も外国籍選手と同じ役割になることが多いので、実際の起用は「日本人以外が何人か」で数えたほうが近くなります。
| コート上の日本人以外の人数 | 2025-26 | 2026-27 |
|---|---|---|
| 0人(日本人5人) | 1.0% | 1.7% |
| 1人 | 7.2% | 7.9% |
| 2人 | 58.4% | 40.9% |
| 3人 | 33.5% | 44.7% |
| 4人(日本人1人だけ) | 0.0% | 4.8% |
コート上の外国籍(帰化・アジア特別枠を含む)が、2人から3人に増えました。 昨季いちばん長かったのは2人の時間(58.4%)でしたが、今季は3人の時間(44.7%)がそれを追い越しています。そして昨季は1秒も存在しえなかった4人(日本人が1人だけ)が4.8%、1試合あたり1.9分あります。
この配分はクラブごとに大きく違います。26クラブを日本人シェアが少ない順に並べ、右端にそのシェアを置きました。帯の形とシェアの数字が一致しないところが、この図の見どころです。
帯の形は、日本人シェアの順番と一致しません。 上から4番目の佐賀バルーナーズは、日本人1人の時間が0.5%しかありません。83.9%が「3人」で帯がほぼ1色です。いちばん上の広島ドラゴンフライズは33.5%を日本人1人で戦っています。この2クラブはまったく違う形をしているのに、日本人シェアは40.1%と44.0%でほとんど同じです。
数字でも確かめられます。日本人1人だけの時間と日本人シェアの相関係数は-0.55で、方向は合っていますが決まるところまではいきません。日本人1人の時間が0だった13クラブの日本人シェアは、46.6%から71.8%まで25ポイント開いています。 「日本人1人の5人を使ったかどうか」は、そのクラブが日本人にどれだけ時間を配ったかを言い当てません。
逆側の端では、長崎ヴェルカが44.9%を「1人」(日本人4人)で、宇都宮ブレックスは日本人5人の時間を11.8%持っています。この2クラブは日本人シェアでも上位2つです。
広島の33.5%は、先発がそうだったからです
いちばん上の広島ドラゴンフライズは、他と比べて飛び抜けています。試合の3分の1を日本人1人で戦うのは、途中の短い時間ではなく試合の入り方そのものです。
| 広島の先発5人 | 9/25 | 9/27 |
|---|---|---|
| メイヨ ニック(②帰化) | 33.6分 | 27.9分 |
| ドウェイン・エバンス(③外国籍) | 33.0分 | 31.1分 |
| クリストファー・スミス(③外国籍) | 31.9分 | 26.9分 |
| コフィ・コーバーン(③外国籍) | 25.4分 | 29.6分 |
| 佐藤 涼成(①日本人) | 24.1分 | 19.6分 |
2試合とも、この5人でティップオフを迎えています。 該当した26.8分は12本のスティントに分かれていて、両試合のQ1からQ4まで全部に出てきます。点差がついた時間帯だけの話ではありません。組み合わせの日本人は佐藤涼成・伊藤達哉・三谷桂司朗・山崎稜と入れ替わりますが、外国人系の4人は固定です。
先発だけを数えると、リーグ全体でもはっきり動いています。
| 先発5人のうち日本人以外 | 2025-26 | 2026-27 |
|---|---|---|
| 1人 | 1.9% | 0.0% |
| 2人 | 54.0% | 23.1% |
| 3人 | 44.1% | 69.2% |
| 4人 | 0.0% | 7.7% |
日本人1人で試合に入った4チーム試合は、広島と仙台89ERSの2クラブだけです。 どちらも2試合ともそうしています。1回きりの実験ではなく、開幕から通している形です。
ただし「3人」は昨季もありました。外国籍2人+特別枠1人という組み方が認められていたからです。今季になって初めて可能になったのは「外国籍が3人同時」のほうで、これは全出場時間の23.9%、1試合40分のうち9.6分でした。
| 同時にコートにいた外国籍(③)の人数 | 2025-26 | 2026-27 |
|---|---|---|
| 0人 | 1.7% | 3.5% |
| 1人 | 16.8% | 17.6% |
| 2人 | 81.6% | 54.9% |
| 3人 | 0.0% | 23.9% |
右端と左端を並べます。「日本人1人だけ」は帰化・アジア特別枠を含めて4人が同時に出ていた時間です。
| クラブ | 外国籍3人同時 | 1試合あたり | 日本人1人だけ | 1試合あたり |
|---|---|---|---|---|
| 佐賀バルーナーズ | 57.9% | 23.2分 | 0.5% | 0.2分 |
| 広島ドラゴンフライズ | 45.7% | 18.3分 | 33.5% | 13.4分 |
| 京都ハンナリーズ | 45.2% | 18.1分 | 2.8% | 1.1分 |
| 滋賀レイクス | 43.9% | 17.6分 | 0.0% | 0.0分 |
| アルティーリ千葉 | 42.7% | 17.1分 | 0.0% | 0.0分 |
| 仙台89ERS | 39.2% | 14.9分 | 30.3% | 11.5分 |
| アルバルク東京 | 31.5% | 12.6分 | 19.2% | 7.7分 |
| 茨城ロボッツ | 24.3% | 9.7分 | 15.1% | 6.0分 |
| 三遠ネオフェニックス | 30.9% | 12.4分 | 9.1% | 3.7分 |
| …… | ||||
| 千葉ジェッツ | 2.9% | 1.2分 | 0.0% | 0.0分 |
| 宇都宮ブレックス | 0.0% | 0.0分 | 0.0% | 0.0分 |
| 富山グラウジーズ | 0.0% | 0.0分 | 0.0% | 0.0分 |
| 川崎ブレイブサンダース | 0.0% | 0.0分 | 0.0% | 0.0分 |
2つの列は連動していません。 佐賀バルーナーズは外国籍3人を最も長く使いながら、日本人1人だけの時間はほぼ0です(特別枠を使っていないため)。逆に広島ドラゴンフライズは外国籍3人が45.7%で、そのうち大半に帰化選手を足して4人にしています。外国籍を3人並べるのと、そこに特別枠を足して日本人を1人にするのは、別の判断です。
佐賀バルーナーズは試合の半分以上(23.2分)を外国籍3人で戦っています。 ナシール・リトル、デイミアン・ドットソン、デイビッド・ダジンスキーの3人がそれぞれ2試合で70分・68分・59分出ていて、日本人シェアが11.5ポイント落ちたのも、実質7.12人までローテーションが縮んだのも、同じ1つの選択から出ています。
日本人が1人しかコートにいない時間を最も作ったのは広島ドラゴンフライズ(33.5%)です。 先発から4人を並べているのは前に見たとおりで、日本人シェアが40.1%とリーグ最低なのもここから来ています。仙台89ERS(30.3%)はレバノン国籍のセルジオ・エル ダーウィッチ、アルバルク東京(19.2%)は帰化選手のライアン・ロシターと、同じ形を別の枠で作っています。
②の特別枠は、外国籍を4人目のように使う席になりました。 枠そのものの出場時間は昨季から動いていないのに(8.9%→8.8%)、その1人が立つ場所が変わっています。昨季は外国籍2人+特別枠1人までだったので日本人が2人は残りましたが、今季は外国籍3人+特別枠1人が組めるので、日本人が1人になります。
0%の3クラブは「使わなかった」のではありません
宇都宮ブレックス・富山グラウジーズ・川崎ブレイブサンダースの0%は、采配の結果ではなく編成の結果です。この3クラブは開幕2試合に出場した外国籍選手が2人しかいません。
| クラブ | 出場した外国籍(③) | 特別枠(②) |
|---|---|---|
| 宇都宮ブレックス | トレイ・ケル、アイザック・フォトゥ | ギャビン・エドワーズ(帰化) |
| 富山グラウジーズ | ブライアン・アンゴラ、ダラル・ウィリス ジュニア | サーディ・ラベナ(アジア特別枠) |
| 川崎ブレイブサンダース | ジェイデン・リディ、マット・ボンズ | アレックス・カーク(帰化) |
3人目を置いていないので、3人同時という選択肢がそもそもありません。外国籍3人で押すのではなく、②の枠を大型選手で埋めて日本人を4人残す編成を選んだという読み方になります。日本人シェアが増えた5クラブのうち、宇都宮と富山の2つがここに入っています。
日本人シェアだけを見ても足りません
ここまでは「日本人に何分配られたか」を見てきました。でも同じ50%でも、4人で分けるのと2人で分けるのでは意味が違います。1人の日本人が30分出て「日本人が出ている」と言うのは、少し違うはずです。
そこで、日本人に配られた時間を選手1人ずつに切って並べました。棒の全長がそのクラブの日本人シェアで、中の区切り1つが日本人選手1人の1試合あたりの出場時間です。棒が短ければ日本人の枠が小さく、区切りが少なくて大きければ一部の選手に寄っています。
上位2つは宇都宮ブレックスと千葉ジェッツです。
宇都宮は20分以上の日本人が5人います。竹内公輔24.9分・高島紳司23.3分・比江島慎22.4分・鵤誠司21.5分・小川敦也21.4分と、5人が21分から25分の間にきれいに並んでいます。千葉ジェッツは4人で、渡邊雄太30.4分・原修太25.2分・富樫勇樹23.3分・金近廉22.1分です。日本人シェアが高いだけでなく、その枠を複数の主力で分けているのがこの2クラブです。
日本人シェアがリーグ1位の長崎ヴェルカ(71.8%)は20分以上が3人でした。馬場雄大31.4分・森川正明26.3分・熊谷航24.3分のあと、星川堅信17.7分・田中流嘉州16.2分と続きます。15分以上で数えれば5人で宇都宮・千葉Jと並びますが、20分の線で切ると3人です。
| クラブ | 日本人シェア | 20分以上の日本人 | 15分以上の日本人 |
|---|---|---|---|
| 宇都宮ブレックス | 68.2% | 5人 | 5人 |
| 千葉ジェッツ | 64.9% | 4人 | 5人 |
| 長崎ヴェルカ | 71.8% | 3人 | 5人 |
| アルティーリ千葉 | 55.2% | 3人 | 5人 |
| (リーグ平均) | 51.4% | 2.2人 | 3.5人 |
| 富山グラウジーズ | 56.5% | 2人 | 2人 |
| 佐賀バルーナーズ | 44.0% | 2人 | 2人 |
| 広島ドラゴンフライズ | 40.1% | 1人 | 2人 |
| 川崎ブレイブサンダース | 50.9% | 0人 | 4人 |
下から見ると、狭さにも2種類あります。
佐賀バルーナーズは「2人だけが厚い」型です。 棒が短いうえに左の2つが極端に大きく、角田太輝(33.2分)と阿部諒(27.1分)の2人で日本人時間の7割近くを持っています。3人目の井上諒汰が14.9分で、そこから4.4分以下が5人続きます。枠が小さく、さらにその中で2人に寄っているという二重の狭さです。
川崎ブレイブサンダースは逆に「誰も長く出ない」型です。 日本人シェアは50.9%とほぼリーグ平均なのに、20分以上の日本人が0人でした。篠山竜青19.2分・荒谷裕秀19.0分・津山尚大17.3分・松山駿17.2分と、15分台から19分台に4人が固まっています。薄く広く配ると、日本人シェアの数字は平均でも、主力として出ている選手はいなくなります。
広島ドラゴンフライズは両方です。 棒がリーグ最短で、20分以上も佐藤涼成1人だけでした。
日本人の出場時間を語るなら、この2つを分けて見る必要があります。 何%配られたかと、それを何人で分けたか。片方だけだと、佐賀のように「2人だけが長く出ている」状態も、川崎のように「全員が中途半端」な状態も見落とします。
この記事の弱いところ
3つあります。
1つ目。2試合しかありません。 52チーム試合は、昨季の1,592チーム試合の3%です。チーム別の数字は1試合の相手や試合展開で簡単に動きます。この記事のチーム別の値は「開幕週にこう使った」以上のことは言えません。
2つ目。ルール変更とロスター変更を分けられません。 オフの間に選手は入れ替わっています。佐賀バルーナーズが外国籍3人を長く使ったのは、オンザコートフリーになったからなのか、リトルを獲れたからなのか、この数字からは切り分けられません。リーグ全体の-3.7ポイントも、同じ理由でルール変更だけの効果とは言えません。
3つ目。昇格2クラブは比較できません。 信州ブレイブウォリアーズと神戸ストークスには前季のB1データがないので、前季比の列が空いています。リーグ平均の比較は24クラブに絞っても同じ結果でしたが、26クラブの平均そのものは昇格分を含んでいます。
それでも、昨季は組めなかった編成が開幕週で全出場時間の23.9%を占めたことと、その使い方が57.9%から0%まで分かれたことは、2試合でも動かない事実です。シーズンが進んだら同じやり方で数え直します。