バスケのレーティング(OFFRTG・DEFRTG・NETRTG)とは? 強さを効率で測る
チームの強さを1試合の得点で測ろうとすると、うまくいきません。得点が多くても守備がザルなら勝てないし、攻める回数が多いだけで効率は悪いこともあるからです。そこで使うのが、得点や失点を「100回の攻防」あたりでそろえたレーティングです。この記事では、2025-26シーズンのBリーグの実データで、OFFRTG・DEFRTG・NETRTGの3つが何を表すのかを見ていきます。
対象は、2025-26レギュラーシーズンを戦った26チームです。順位はこの26チームの中での順位を指します。数字はリーグのチームランキングで見られるものと同じです。
攻撃1位が総合12位、攻撃15位が総合3位
まず2チームを比べます。レバンガ北海道は、100回攻めて何点取るか(OFFRTG)がリーグ1位でした。攻撃力はリーグで一番です。ところが総合的な強さ(NETRTG)では12位にとどまります。
一方、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは攻撃力が15位と平凡です。それなのに総合では3位に入りました。
攻撃が1位のチームが総合12位で、攻撃15位のチームが総合3位。得点する力だけでは、強さの順位が説明できていません。差は守備にあります。ここから、3つのレーティングを順に見ていきます。
なぜ1試合の得点では測れないか
その前に、なぜ「1試合あたりの得点」で攻撃力を測れないのかを押さえます。理由は、チームによって1試合の攻める回数(ポゼッション)が違うからです。速いテンポのチームは何度も攻めるので得点がかさみ、遅いチームは攻める回数自体が少なくなります。
極端な2チームで見ます。富山グラウジーズはリーグで最もテンポが速く(1試合79.8回の攻撃)、群馬クレインサンダーズは最も遅い(72.4回)です。
| 1試合の攻撃回数 | 得点/試合 | OFFRTG(100回あたり) | |
|---|---|---|---|
| 富山(最速) | 79.8(1位) | 81.8(12位) | 102.4(21位) |
| 群馬(最遅) | 72.4(26位) | 82.9(8位) | 114.2(2位) |
最も遅い群馬のほうが、最も速い富山より1試合の得点は多い(82.9対81.8)。にもかかわらず、攻撃の効率(OFFRTG)は群馬が2位、富山は21位です。富山は「たくさん攻めるから得点は並、でも1回の攻撃の効率は下位」、群馬は「攻める回数は少ないのに、1回あたりの効率はリーグ屈指」。1試合の得点には、攻める回数の多い少ないが混ざっているので、攻撃力そのものは測れません。だから回数でそろえます。
OFFRTGとDEFRTGとは
回数でそろえた指標が、OFFRTG(オフェンシブレーティング)とDEFRTG(ディフェンシブレーティング)です。計算はシンプルです。
OFFRTG = 得点 ÷ 攻撃回数 × 100 (100回攻めて何点取るか)
DEFRTG = 失点 ÷ 相手の攻撃回数 × 100 (100回守って何点許すか)
OFFRTGは高いほど攻撃が良い。DEFRTGは失点なので、低いほど守備が良い(少ない失点で守れている)。ここが直感と逆なので注意します。2025-26のリーグ平均はどちらも約107でした。
先ほどの2チームに戻ると、レバンガ北海道はOFFRTG114.6でリーグ1位、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはDEFRTG95.8でリーグ1位です。攻撃の北海道、守備の名古屋D、と見るとイメージが合います。
NETRTG=攻撃効率−守備効率
この2つを1つにまとめたのがNETRTG(ネットレーティング)です。
NETRTG = OFFRTG - DEFRTG
100回の攻防で、取った点と許した点の差です。プラスが大きいほど強いチームになります。2025-26の上位はこうでした。
| 順位 | チーム | NETRTG | OFFRTG | DEFRTG |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 長崎ヴェルカ | +15.2 | 113.6(4位) | 98.5(2位) |
| 2位 | 群馬クレインサンダーズ | +13.0 | 114.2(2位) | 101.6(3位) |
| 3位 | 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | +9.2 | 105.0(15位) | 95.8(1位) |
| 12位 | レバンガ北海道 | +2.1 | 114.6(1位) | 112.5(26位) |
レバンガ北海道は攻撃が1位でも、守備が26位(最下位)なので、差し引きのNETRTGは12位まで下がります。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは攻撃が15位でも、守備が1位なのでNETRTGは3位。冒頭の「攻撃1位が総合12位、攻撃15位が総合3位」は、この引き算で起きていました。強さは攻撃と守備の両方で決まります。
攻撃と守備でチームを並べる
攻撃効率を横、守備効率を縦にして26チームを置くと、チームの型が見えます。上にいくほど守備が良い(失点が少ない)並びにしています。
右上が攻守両立(長崎・群馬)、右下が攻撃はあるが守備が弱い攻撃型(北海道)、左上が攻撃は平凡でも守備で勝つ守備型(名古屋D)、左下が両方苦しい低迷(秋田)です。名古屋Dだけが1チーム、左上にぽつんと離れているのが分かります。この守備がどれだけ特殊かは、後で数字で見ます。
攻撃と守備、どちらで差がつくか
レバンガ北海道と名古屋ダイヤモンドドルフィンズを、リーグ内での位置(パーセンタイル。右にいくほど上位)で並べると、正反対なのがはっきりします。守備効率は失点なので、値が低いほど良く、バーは「良いほど長い」向きにそろえています。
レバンガ北海道(NETRTG 12位)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(NETRTG 3位)
リーグ全体で見ると、この2つの効率がどちらも高い「両立」チームは多くありません。攻撃効率と守備効率の相関を26チームで調べると −0.40 で、弱いながら「攻撃が良いチームは守備がやや手薄」という逆向きの関係が出ます。両方そろえるのは難しい、ということです。
また2025-26は、攻撃効率のばらつき(標準偏差5.3)が守備効率(4.0)より大きく、攻撃の良し悪しのほうがチーム間の差を生みやすいシーズンでした。ただし名古屋ダイヤモンドドルフィンズのように、守備一本で上位に来るチームもあります。強さの作り方は1つではありません。
名古屋Dの守備がどれだけ異常か
その名古屋ダイヤモンドドルフィンズの守備を、数字で確かめます。DEFRTGは95.8。リーグ平均は106.9なので、平均より約11点も少ない失点で守っています。2位の長崎ヴェルカ(98.5)とも2.7点の差があり、26チームの中で1チームだけ大きく抜け出ています。統計のばらつきで見ると平均から2.8個ぶん外れた値で、めったに出ない水準です。
攻撃が平凡でも総合3位に入れたのは、この守備が支えたからです。1試合の得点や失点だけを見ていると、こういうチームの強さは見えません。攻防を100回でそろえて初めて、「攻撃の北海道」と「守備の名古屋D」を同じ土俵で比べられます。
まとめ
- OFFRTG(100回攻めて何点)とDEFRTG(100回守って何点許すか)は、得点・失点を攻める回数でそろえた効率の指標です。DEFRTGは低いほど良い守備を表します
- 1試合の得点にはテンポ(攻める回数)の差が混ざります。最も遅い群馬が最も速い富山より得点が多いのに、攻撃効率は群馬が上、という逆転はこのためです
- NETRTG=攻撃効率−守備効率が、チームの正味の強さです。攻撃1位でも守備が最下位の北海道は総合12位、攻撃15位でも守備1位の名古屋Dは総合3位でした
- 強さは攻撃と守備の両方で決まります。攻守を分けて見たいときはリーグのチームランキングや各チームページで並べられます