バスケのEFF(効率指数)とは? 同じ得点でも数字が変わる理由
スタッツを見はじめると、まず目に入るのが得点ランキングです。その次によく出てくるのがEFF(Efficiency、効率指数)という数字です。名前のとおり選手の働きを1つの数字でまとめたもので、リーグの選手ランキングにも並んでいます。この記事では、2025-26シーズンのBリーグの実データを使って、EFFが何を測っていて、得点とどう違うのかを見ていきます。
対象は、2025-26レギュラーシーズンに30試合以上出場した290選手です。順位はこの290人の中での順位を指します。
同じ得点でも、EFFはこれだけ変わる
まず、2025-26に1試合平均19.5得点だった3人を並べます。得点はぴったり同じで、リーグの得点順位はそろって6位です。ところがEFFの順位はこうなります。
| 選手 | 得点(順位) | EFF(順位) |
|---|---|---|
| ヤンテ・メイテン(三遠) | 19.5(6位) | 25.9(7位) |
| クリストファー・スミス(広島) | 19.5(6位) | 22.6(14位) |
| 富永啓生(北海道) | 19.5(6位) | 16.9(53位) |
得点順位は3人とも6位で並びます。ところがEFFの順位は7位から53位まで散らばります。同じ得点でも、EFFで見ると立ち位置がまるで変わる。この差がどこから来るのかが、EFFを理解する近道です。
EFFとは何か
EFFは、スコアシートに載る「良いこと」を足して、「悪いこと」を引いた合計値です。計算式はこうです。
EFF = (得点 + リバウンド + アシスト + スティール + ブロック)
- (外したフィールドゴール + 外したフリースロー + ターンオーバー)
点を取る・リバウンドを拾う・アシストを配る・ボールを奪う・シュートを止める、この5つが加点。シュートを外す・フリースローを外す・ボールを失う、この3つが減点です。全部を1試合ぶん足し引きした値がEFFになります。
式を見ると分かるとおり、得点はEFFの一番大きな項です。だから得点をたくさん取る選手は、それだけでEFFも大きくなります。
得点とEFFは、ほとんど連動する
実際、この2つはよく揃って動きます。290人で調べると、得点とEFFの相関は0.94でした(1に近いほど連動が強い)。EFFのばらつきの約9割は、得点の高さで説明できます。得点が多い選手はEFFも高い、が基本です。
「得点は低いのにEFFだけ高い」選手を探しても、ほとんど見つかりません。得点がリーグの中央値を下回るのにEFFが上位15%に入る選手は、290人の中で0人でした。得点を抜きにしてEFFだけ高くなる、ということはまず起きません。得点ランキングとEFFランキングが大きくは違わないのは、このためです。
散布図にすると一目です。1点が1選手、横が得点、縦がEFFです。点は右上がりに並び、得点が上がればEFFも上がる関係が見えます。赤くしたEFF上位15%の44人は、全員が得点でも平均以上(中央値の右側)にいます。左上の「得点は少ないのにEFFが高い」区画には、誰もいません。
開くのは「得点以外」で差がつくから
では、なぜ同じ19.5得点でEFFが9も開いたのか。得点が同じなら、差は得点以外の項で生まれます。ヤンテ・メイテンと富永啓生を、リーグ内での位置(パーセンタイル。右にいくほど上位)で並べます。
ヤンテ・メイテン(EFF 25.9)
富永啓生(EFF 16.9)
得点はどちらもリーグ上位で並びます。分かれるのはリバウンドとシュート成功率です。メイテンは1試合7.6本のリバウンドを拾い、これが大きな加点になります。富永啓生は2.5本で、ここで差がつきます。さらにメイテンはシュート成功率54.8%で外す本数が少なく、富永啓生は46.6%です。しかも富永啓生は3Pを軸に1試合15本以上撃つので、外したシュートの絶対数は多くなります。
つまり同じ19.5得点でも、メイテンは「得点+リバウンド+高い成功率」で加点を積み、富永啓生は「得点は高いが周辺の加点が控えめで、外す本数が多い」。その結果、EFFが9も開きました。EFFが拾っているのは、この得点以外の貢献と、ミスの少なさです。
得点6位の富永啓生が、EFFでは53位
この差は、リーグ全体の順位にも表れます。富永啓生の得点は290人中6位。ところがEFFは53位まで下がります。得点では6位なのに、EFFでは50人近くに抜かれる計算です。
ただし誤解のないように書くと、EFF53位は290人の中で上位2割(パーセンタイル82)に入る数字で、決して「低い」わけではありません。「得点ほどは高くない」というのが正確です。富永啓生はリーグで最もボールを使う部類の選手(ユーセージ率32.2%)で、それだけ多く撃ちます。撃つ本数が多ければ入る本数も外す本数も増えるので、得点は伸びてもEFFは得点ほどは伸びない、という関係になります。
EFFで測れないもの
ここまでで、EFFが得点にリバウンドやアシスト、ミスの少なさを足し引きした数字だと分かりました。便利な一発指標ですが、弱点もあります。使うときはここを踏まえておくと、数字に振り回されずに済みます。
1つ目は、出場時間やポゼッションで割っていないことです。EFFは合計を足し引きした値なので、長い時間出て、たくさんボールを持つ選手ほど大きくなりやすい。短い時間で効率よく働く選手は低く見えることがあります。「どれだけボールを持ったうえでの数字か」を見たいなら、ユーセージ率(USG%。チームの攻撃をどれだけ引き受けたか)を合わせて見ます。
2つ目は、シュートの中身までは見ていないことです。EFFは外したシュートを1本ずつ引きますが、2Pと3Pの価値の違いや、フリースローの効率は式に入っていません。「1本あたりどれだけ効率よく点を取ったか」を見たいなら、TS%(フリースローと3Pも加味したシュート効率)のほうが向いています。実際、富永啓生のTS%は58.6%でリーグの平均的な水準を上回ります。撃った1本あたりの効率が悪いわけではなく、EFFが本数の合計で積み上がる指標だから順位が下がる、という話です。
では得点とほとんど連動するなら、EFFは見なくていいのか。そうではありません。得点をそろえたときに残る差こそが、メイテンのような「決めてリバウンドも拾う選手」と、富永啓生のような「撃って取る選手」を分けます。EFFで全体の当たりをつけて、気になった選手をユーセージ率やTS%で確かめる。この順で見ると、選手像がはっきりします。指標はリーグの選手ランキングや各選手のページで並べて見られます。
まとめ
- EFF(効率指数)は、得点・リバウンド・アシスト・スティール・ブロックを足し、外したシュート・外したフリースロー・ターンオーバーを引いた合計値です
- 得点が式の一番大きな項なので、得点とEFFはほぼ連動します(相関0.94)。得点が低いのにEFFだけ高い選手は、290人の中でほぼいませんでした
- ただし得点をそろえると、EFFは大きく開きます。同じ19.5得点でもメイテンは25.9、富永啓生は16.9でした。差はリバウンドやシュート成功率、ミスの少なさで生まれます
- EFFは出場時間やポゼッションで割っておらず、シュートの中身も見ていません。ボールの使用量はユーセージ率、シュート効率はTS%を合わせて見ると、選手像がはっきりします